ときどき、保護者や教職員向けにお話しする機会をいただきます。
そのときに大切にしているのは、
子どもの見方について子どもの味方として考えたことをお伝えすること。
これまでの講演録から抜粋した、子どもたちへの理解を深めるコラムです。
子どもが急に「学校に行きたくない。」と言い出すと、保護者はとにかく焦ります。
最初はなだめたり、いろいろ言い聞かせたりして何とか学校に連れていきますが、そのうち家から、あるいは自分の部屋から出られなくなると「もう自分たちだけではどうしようもない。」と思って学校に相談に訪れるというのが一般的な流れです。
いっぽう、学校は、保護者から「子どもが学校に行きたくないと言うのですが、どうしたらいいでしょう。」と相談を受けると、「何とか連れてこられませんか。」、「教室が嫌なら保健室でも相談室でもいいので、本人に聞いてみてもらえませんか。」といったアドバイスから始めるのが一般的です。
何が子どもに影響しているのかは本人に聞かないとわかりませんし、あらかじめ「この子は不登校になるかもしれない。」と把握するのも困難です。
とても残念なことではありますが、不登校やその前段階とされる「登校渋り」になったとき、学校にとっては「想定外」である場合が多く、あれこれ考えたり想像したりするものの、結局、最後まで本当のことはわからずじまいになることもよくあります。
トピックス①:不登校では、不登校の現状や法律に基づく施策、不登校の要因について考えます。
現状、保護者や教職員が最も頭を悩ませていてスクールカウンセラーへの相談も多いのが、この学校不適応に関するものと言っても過言ではないでしょう。
学校における集団行動、時間割に沿った生活、一斉授業などに違和感を持つ子どもが増えています。それらの違和感から学校を否定的に見るようになり、不登校に至ることも少なくありません。
学校不適応の原因は「発達障害」と結びつけられがちですが、実際に診断を受けている児童生徒は少なく、安易に原因を絞ると見立てを誤ることになりかねません。本人の性格や気質、成育歴、生活環境など様々な視点から考える必要があります。
なお、2004年(平成16年)に公布され翌年4月から施行された「発達障害者支援法」では、発達障害を次のように定義しています。
「この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。」
その後、医学的な診断基準が変わり、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害は、ASD(自閉症スペクトラム障害)という言葉で一括して定義されるようになりました。また、ADHD(注意欠陥多動性障害)やLD(学習障害)と重なることもあるというふうに捉えられています。
「発達障害者支援法」の重要な点は、児童の発達障害の早期発見と支援を市町村やその教育委員会の責務としていること、および、発達障害児が発達障害児でない児童と共に教育を受けられるよう配慮しつつ適切な教育的支援を行うことの2点を明確にしているところです。
これにより、学校における配慮は特別なものではなくなり、診断の有無にかかわらず、教職員が気になる子どもやスクールカウンセラーが支援が必要と見立てた子どもに対する支援が広がっています。
トピックス②:学校不適応では、子どもがどんなふうに困っているかについて考えます。
子どもが不登校や不適応などになると、問題が次々に起こってどうにも手の付けようがない状態に陥ることがあります。
そんなとき、目先の問題を解決しようとするだけでなく、子どもが今後歩んでいく長い人生に目を向けて、子どもにどのような課題を達成してほしいのかを考えることが重要です。
また、見守るだけでなく、子どもの状態を客観的に見ながら勇気を出して働きかけることも必要です。
トピックス③:問題解決 → 課題設定では、そのタイミングを見極めるための声かけを含め、対応全般について詳しく見ていきます。
小学校に入学するにあたり、子どもは「就学時健康診断」を受けます。
運営者が勤務する小学校では、保護者ととも訪れた入学予定の子どもは、親と離れて検診会場を巡ります。
子どもにとってはこれまでにない大冒険であり、親ではないおおぜいの大人と接する初めての機会と言っても過言ではありません。また、保護者も子どもが知らない大人とちゃんと接することができるか大きな不安を抱えるようです。
子どもが検診会場にいる間、スクールカウンセラーである運営者は主に子育てについて保護者向けにお話をします。
トピックス④:子育て・親育ちでは、その内容をコンパクトにまとめて紹介しています。